2018年7月6日金曜日

描かせてもらっている

うんうん唸りながら、キャンバスに向かいます。
とにかく絵の具を置いていく。
構成も構想もない。
いや、ないのではないのです。

僕の奥底に眠っている。

でもそれは、自分の意思では出てこない。

無心に絵の具を置いていく。
無造作に、ていねいに
ランダムに、規則的に


そうしてもういい加減、疲れて
キャンバス(実際には板です)の前で途方にくれながらぼんやりする。

そうすると、画面になにかが浮き出てくる。
「これを描きなさい」という声が、してくる。

「はっ」として、急いで形を整えていく。
次第に声もはっきりと明確になっていく。


ムム、置いた色の中から、誰かが呼んでいる。

聞こえなくなったら、また筆を置く。
ぐっと溜めて、パッと描く…ぐっと溜めて、パッと描く…
この繰り返しのリズムがだいじ。

近頃はやっとこのリズムがつかめることが増えてきた。





最初は、戦国武将?
いや、なんかそうじゃないな。表情はそんなに険しくない。
神官にも見える、鳴弦かな。
あれれ?ご先祖?
…という具合に、だんだん見えてくる。

一見、怖いように見えるけれど、ちっとも怖い絵ではないのです。
なにかを見据えて、守っているようにも見える。
なにか差し伸べている…手か。
エネルギーはスゴイ。

という調子。

描かされている。
描かせてもらっている。