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2015年3月25日水曜日

初号スーパーニッカ復刻版

マッサンも今週で最終回、ニッカ復刻版もいよいよ大トリです。

スーパーニッカは1962年の発売以来、都合2回のモデルチェンジをしていて、現行は3代目になるそうです。

僕は2代目スーパーニッカ(現在は廃盤)しか飲んだことはありませんし、もうその味もかなり記憶のかなたですので細かい飲み比べをすることはできませんが、わざわざここで飲み比べなどしなくてもスーパーニッカが美味い一流のウイスキーであることは十分に知られていることですから必要ないことでしょう。

スーパーニッカがニッカの最上位商品であったころ、現在の我々が知るところの「余市」の香り、味、余韻というのは、まさにこのスーパーニッカそのものであり、ニッカ…というより日本のウイスキーの最高峰と言って差し支えないものでした。
スモーキーフレーバー、スムーズさ、パンチ、甘みと濃い風味、そしてバニラ香、これが「ニッカの酒」そのものであり「ウイスキーそのもの」でした。

また自分にとってもカティ・サークと共に「ウイスキーというのは美味いものだ」と知ることになった最初の酒です。

スーパーニッカ全盛の時代は1970〜80年代。ジャパニーズ・ウイスキーの代表はサントリーオールドとサントリーリザーブ、そしてこのスーパーニッカが担っていました。
しかしながら、サントリーファンにはやや申し訳ない話になりますが当時はオールドもリザーブもストレートではお世辞にも美味いとは言い難い、なんとも珍妙な味がしたものです。
特にオールドはアルコール臭と共にやってくるべたつく様な甘さといつまでも残る後味は何がどうしてそうなるのか理由は分かりませんでしたが「ウイスキーとはまずいもの、だから水割りにして飲むもの」というイメージに直結していました。
確かに水割りにするといくらでもするすると飲めたものでしたが、ウイスキーというよりはよくできたカクテルのような感じです。

僕が初めてスーパーニッカに出会った時、ウイスキーには独特の言語がありその言語を理解してこそウイスキーならではの美味さというものがあるということに気が付きました。
カティサークでストレートの美味さを知り、スーパーニッカで味わいの複雑さ、奥深さを知りました。

本来はスーパーニッカはオールドよりもむしろリザーブの上位銘柄として位置しています。
しかし当時の実際の世間のイメージは
リザーブ→高級クラブやバーのキープ用
オールド→バーと寿司屋の定番
スーパーニッカ→通向け洋酒居酒屋で見かける程度

というような扱いになっていました。
そういえば同価格帯にはキリンのロバートブラウンという優れたカナディアン・ウイスキーがありました(これも現在とは全く味が違う)が、こっちはもはやキワモノ扱い。

スーパーニッカの味はそれらのウイスキーの中でも別格でした。
ビシッと決まるスモーキーフレーバー、キレのよい舌触り、自然な甘み、フルーティな鼻に抜ける香り、そしてビターチョコレートのような苦味の後に来るバニラ香。いくら飲んでも飲み飽きない複雑なフレーバーが次から次へとやってきます。

国産シングルモルトウイスキーのない時代には、これほど味わいが深くて濃いウイスキーはなく、あとはオールド・パーやジョニ黒などの高級スコッチを探すしかありません。


この復刻版を口に含む度、ウイスキー原体験だった二代目スーパーニッカの記憶がよみがえってきます。
残念ながら初代と三代目は味わったことがありませんが、こうして復刻版を味わっていると、ビターがやや復刻版の方が強く、またフルーティさが二代目の方がややあったような記憶もあり、しかしそれぐらいの違いしか思い起こせません。そう考えると初代〜二代目にはそれほど味の変化はなかったのかもしれません。

他聞によれば三代目はかなり大きくスモーキーさが失われたとか。
ニッカの他のブレンデッドウイスキーも昔に比べるとずいぶん甘くスムーズに変化してきているので、スーパーニッカについてもその辺の変化は容易に想像できます。

もっとも今のニッカも美味いです。それはやはり時代とともに求められるものも変わり、また我々の味覚も変遷しているのですから当然そうなるのでしょう。
サントリーにしたって昔は不味いなあ嘘っぱちだなあと思って飲んでいたのに、いつのまにか「あれ?意外に美味い」と感じる酒が増えているのですから。
変わったと言われる現行のスーパーニッカもぜひ飲んでみたいと思っています。

ボトルのフォルムもちょうど二代目と同じです。願わくばボトルについても初代の手吹きのボトルを復刻して欲しかったですが、コストの問題でそれは無理な注文というものでしょう。

初号復刻版を、僕は自分自身のウイスキーの素晴らしい原体験である二代目スーパーニッカの思い出として味わっています。

おすすめはトゥワイスアップ(ウイスキー1に対して、常温水を0.5〜1の割合で)。シングルモルトとはまた違う、そして凌駕する素晴らしい芳香と風味が口の中に広がります。






2015年3月20日金曜日

家飲みスコッチモルト 〜The GlenLivet 12年〜


友人に薦められて家飲み用に入手したグレンリヴェットの12年。
現在日本国内で最も安価に手に入る12年シングルモルトの一つではないでしょうか。実売は2500円〜4000円前後/700ml。ニッカの余市や宮城峡の12年物をしのぐコストパフォーマンスです。

ピート香はさほど強くなく花の香りが強く出ています。シェリー樽のカスク香と甘みがとても強く、濃厚でとろっとした味わいです。宮城峡にとても良く似ています。余韻もブーケのようです。

ストレートがもっともこのお酒の良さを感じることができるでしょう。
飲みやすくスムーズですが、加水してゆくとどうしても香りが散漫になり、味にも苦味が出てきます。アロマもそれほど強くはありません。
このことを僕は欠点とは思っていません。むしろこのクセのなさ、ストレートでのフローラルな味わいはモルトの入門編としては非常に優れています。

アルコールの角は少しだけあります。例えばジャパニーズ・ウイスキーで例えるならノンエイジとして扱われるレベルの熟成度合いです。
やはり気温が低いスコットランドと高温多湿の日本ではエイジングの年数に若干の差が出てくるのかなあと感じます。

最近台湾のKAVALANが創業7年目にしてスコッチを凌駕する味で話題になったり、日本の誇るイチローズ・モルトも決して本場と同じ環境で熟成されたものでないということを考えると、もしかするとウイスキーというのは意外にも高温熟成で良いものが速成できるのかなと想像したりしています。

まあ、それでもウイスキーというのは本来なら何万円も出して飲むようなお酒ではないという僕の信条からすれば、12年というお酒の時間そのものが手軽に入手でき、自宅でもったいながらずに飲めるという事の方がずっと重要なことです。

スコッチウイスキーにはいくつか有名な産地がありますが、グレンリヴェットはハイランド地方のスペイサイドという地区で作られています。
スペイサイドのモルトは甘く香りが高い華やかな味のモルトが多く、グレンリヴェットもその特徴をよく持っています。

それにしてもスコッチ、特にハイランド地方には「グレン」の付くブランドがありすぎです。
グレンドロナック、グレンリベット、グレンフィディック、グレンゴイン、グレングラント……まだまだあります。どれも美味い酒ですが、バーで酔いが回る度ごちゃごちゃになってしまうのが悩みの種です。




2015年3月17日火曜日

スコットランドの家飲みウイスキー 〜The Famous Grouse〜


スコットランドでもっともポピュラーと言われる「ザ・フェイマス・グラウス」(ノンエイジ)。
ボトルラベルにはスコットランドの国鳥である雷鳥(グラウス)が描かれています。
マッカランやハイランドパークの原酒をマリアージュしてブレンデッド・ウイスキーに仕上げています。

実売1200〜1500円、国産だとサントリー角やブラックニッカスペシャル、リッチブレンド辺りと似たような価格帯になります。

味はニッカの同価格帯のウイスキーにとてもよく似ています。ハイランドをお手本にしてウイスキーづくりを始めたと言われるニッカの方が似ているのでしょうけれど、どちらもいわゆる正統派スコッチのベクトル上にあります。

ブレンドに関してはハイランドパークよりマッカランの方が多めの感じで、軽めのピート香、ズシッと来るカスクフレーバーとコク、蜂蜜のような甘み。決して初心者向きではありませんが、味は濃厚で飲みごたえがありながらスムーズで飲みやすいウイスキーです。

1000円前後のブレンデッドスコッチはアルコール臭がきつかったりして、安酒のイメージが拭い切れないものが多いのですが、このフェイマスグラウスはアルコール臭はあまりせず、ふくよかさと甘みが勝っています。

ただ余韻に若干の苦味は残ります。この苦味は好き嫌いが分かれる部分かもしれません。決して奥行きのあるものではなく、飲んでいるうちに何かのアテ(マリアージュ)を要求してきます。
スモーキーフレーバーがもう少し強ければこの辺は美点に変化すると思うのですが、スムーズさとの兼ね合いになるので敢えてそうしないところなのかもしれません。
試しに手元にある余市の10年を少しだけ垂らしてみると実に素晴らしい後味になりました(笑)
それはともかく味の濃厚さという意味ではかなりコストパフォーマンスの良いお酒ではないでしょうか。ベテラン向きです。

ところでバーに行けばもっぱら珍しいシングルモルトやカスクストレングス(水で薄めていない樽出しのモルト。55%〜65%とアルコールが強いのが多い)を頼みます。
しかし高くて美味いのは当たり前、バーでワンショットだけ舐めて「美味い不味い」を言ってもあまり意味がないように思います。だってどれも美味いのですから。
ラムやシェリーと同様、シングルモルトには風景があります。その風景を感じるにはワンショットで十分です。

ところがそのワンショットの値段で一瓶買えてしまうぐらいの安ウイスキーと毎晩向き合っていると、カスクだスモーキーだ風景だという前にその美味い不味いの二値がとても気になる項目になってきます。

効率の悪い蒸留方法で作られた農産品でありながら、同時に画一化された工業製品であることも求められるウイスキーへのブレンダーの工夫、苦心、誠実さ、魂胆、妥協…。いろんな思い。
この「例の有名な雷鳥」はブレンダーのストーリーも含め、そんな期待や想像に答えてくれる良いウイスキーだと思います。










2015年2月25日水曜日

初号ハイニッカ復刻版




ニッカの復刻版を手に入れました。
今回はハイニッカです。
またしても発売初日です。
マッサンの放映もたけなわ、ニッカ(アサヒ)も便乗していろいろ頑張ってくれて嬉しい限りです。

現行ハイニッカ
ハイニッカは元々「ウイスキー二級」として1964年に発売されました。
今は酒税法が変わって等級は廃止されましたが僕が酒を覚えたての頃にはまだ存在していて、要するに普及版のウイスキーでした。
ウイスキー二級というと、サントリーならトリスやレッドがそれに相当しますが、ハイニッカの美味さというかウイスキーらしさはちょっとそれらとは比べ物にならない特別なところがあって、まさしくスコッチの並み居るブレンデッドを凌駕するような酒です。

そのハイニッカ、1980年代後半にモデルチェンジしています。味はライトで香りも若干弱いところがありますが、程よいピート香、パンチ、キレ、何杯でもおかわりできてしまう余韻を持っています。

ただこれだけの味わいを持ちながら、現在ハイニッカは殆どのスーパーやコンビニ、小さな酒屋ではまず手に入りません。ハイニッカはやがて消えてゆく運命にあるお酒のようにも思えます。というのも現在はブラックニッカクリアがあります。このクリアはノンピートでありながら結構コクのある味わいを持った良いウイスキーで、しかも破格の安さでかつてのハイニッカが担っていた棚をすっかり奪ってしまったからです。

そんなハイニッカの復刻版、まず香りで笑ってしまうのですが、もちろんウイスキーの香りもしますがそれを凌駕するウォッカや甲類焼酎の匂い。良くも悪くも懐かしい(笑)
現行ハイニッカはこんな匂いはしません。ブラックニッカクリアは少しだけするかな。

これは現行ハイニッカが「カフェ式グレーン」をブレンドに使っているのに対し、初期のハイニッカはブレンド用に(他メーカーのウイスキーが軒並みそうであったように)ほぼスピリッツに近いグレーンを使用していたからという事実に基いての事とは思いますが…何もここまでバカ正直に再現しなくても…。

まあ、でもサントリーがマッサン人気にまさしく便乗で、現行ホワイトの中身そのままにラベルだけ「白札」に変えるだけの「ナンチャッテ復刻」をしてるという現実を思えば、逆にニッカは今も昔も本当に真面目な会社なんだと思います。

そんなわけで正直に言って、現行ハイニッカよりウイスキーとしての香りの質は落ちてしまっています。でも不思議とそのスピリッツ臭さがキライじゃない(笑)そして余韻にはちゃんとバニラも(ほのかではありますが)出てくる。

そして味わいは逆に現行ハイニッカよりも濃い印象があります。余市原酒特有のきっちりとしたスモーキーフレーバーと潮味、パンチが効いて実にリッチです。そして若干の甘みさえ感じます。当時の二級酒の13%上限という限定されたモルト比率の中でウイスキーらしさを追求しようとすれば、自ずとスモーキーでリッチフレーバーなモルトを使う事になったことでしょう。

実際、香りを除けば決して安っぽさは感じさせない男らしいウイスキーです。
二杯、三杯とグラスを重ねるうちに、「あ、そうだ。ニッカというのはこうだったなあ」と段々思いだしてきました。
ウイスキー好きを唸らせるに必要十分な要素を持っていながら、同時に初心者を寄せ付けない気難しさを持っている。阿りが一切ない代わりに一度ウイスキーの味を覚えた身にとっては堪えられない深い味わいと個性。
故に理解されず、そんじょそこらの酒屋では手に入らないという販売力の弱さ。

そう考えると、今コンビニに並んでいるブラックニッカクリアの分かりやすさ、優しさはニッカのイメージをガラッと変えたのかもしれません。

飲み方は、ストレートかロックでしょうか。水割りにするとウッディな香りも立ってきますが味は若干アルコール臭い苦味が目立ってきます。この辺も初心者向きじゃないなあ。

最近はモルトの濃い味や香りに慣れてしまってますが、ウイスキーの良し悪しはシングルモルトよりも味の薄まったブレンデッドに大きく出ます。

ハイニッカは現行版も復刻版も、同価格帯の普及版ブレンデッドスコッチ、バーボン、ブレンデッドジャパニーズの中では、本当によく古き佳きブレンデッドウイスキーの味を守っている気がします。特に昨今ではスコッチの普及版ブレンデッドの品質低下が著しい故に、相対的にその評価は上がっていると言っても良いのではないでしょうか。

願わくば、現行ハイニッカの復権を。
(角なんかよりずっと美味いんだから)











2015年2月2日月曜日

サントリーのまっすぐなウイスキー 〜Suntory CREST 12〜



サントリークレスト12年
ブレンデッド

1989年、サントリー(壽屋)の90周年を記念して「響17年」と共に発売されたサントリーの高級ブレンデッド・ウイスキー。それまで「ローヤル」が頂点だったサントリーのブレンデッドウイスキーラインナップの上位、いわゆる「ブレンデッドのヴィンテージ物」として2006年まで売られていました。その後ローヤルや響にも12年ものがラインナップされたことで販売終了、今はデッドストックだけしか手に入らないと思います。

このクレストも父が長らく酒棚に放置したままにしていたもの。
父が今年家を離れ特養に入所することになったため、身辺整理の機会に譲り受けました。
といっても元々酒は一滴も飲まない人で、なのに何故かブランデーやウイスキーの贈答が多く、棚にはレミー・マルタンやカミュ、オールド・パー、ジョニ黒など、当時の高級酒が何本も何年も飾り物になっていたのでした。

僕の洋酒の先生はこれらの飾り物達でした。20代〜30代、帰省する度に惜しげもありがたみもなくこれらのボトルを我が物顔で空けてました。
父の下戸のおかげで、息子がブランデーやウイスキーの味を正しく覚えることができたと言っても過言ではありません。深謝。

クレストはその中で未開封のまま最後まで残っていたボトルのひとつでした。
発売当時の価格を見ると5000円。しかも酒税法改正後でウイスキーが安くなってからの価格ですから、国産ウイスキーとしてはかなり高級な部類です。

素性は素直で、個性はそれほどないけれどヴィンテージモルトの良さを活かした良質なウイスキーです。今となっては決して高級な感じはしません。ニッカで言うところのスーパーニッカぐらいかなあといったところ。

第一印象はサントリーの常でややグレーンのアルコール臭さが気になりますが、しばらくすればモルトの香りが開き、奥行きのあるフルーティさとキレの良い甘さが心地良いウイスキーの顔を出します。サントリーにしては例外的にピート香を感じることができ、ウイスキーらしく、ストレートでもスッキリとした味わいを楽しむことができます。そしてマスカット風味と奥行きがあり余韻もしっかりとしています。白州モルトの印象が強いです。

ウイスキー通ならブレンデッドジャパニーズの最高峰に「響」を挙げる方も少なくないと思います。クレストはその響12年に系譜的に繋がるウイスキーだと感じます(味わいは全く異なります)。
思うに、このクレストを境にサントリーのウイスキーの哲学、信念というものがかなり変化したのではないでしょうか。

サントリーのウイスキーは長年、ニッカと較べるとウイスキーそのものを味わうというより、やはり「日本料理に合うこと」「日本人の繊細な味覚に合わせる」ことを再優先にしてきた感があります。故に飲み方のメインは水割りやハイボール。

角やホワイト、オールドはそんな時代を長いこと引きずってきました。水割りやハイボールにすると美味いがストレートではとても飲めないという、誰もが一度はウイスキーに感じてきたジレンマです。
それが逆に「水で割っても腰砕けがない」という不思議なサントリーマジックも生み出したのも事実ですが。

しかし現在の山崎や響はそういったかつてのサントリーの「ご提案」は影を潜め、ウイスキーをしっかりと味わって欲しいという哲学への変化を感じます。
水で割るよりストレートの方が断然美味いのです。

シングルモルトやブレンデッドをストレートで味わえるというのは、日本人の舌が変わってきたせいもあるでしょう。
しかしそれだけではなく、やはりジャパニーズ・ウイスキー自身も変化(進化)しました。

クレストは、そんな過渡期に誕生したブレンデッドにおける初めてのヴィンテージです。当時の5000円というかなり高い価格帯やバブルの時代の雰囲気を敢えて無視して「ジャパニーズウイスキー」という括りで見れば、クレストは何の曲芸も施さず、素直で良心的なブレンドをきちんとした「普及版」ヴィンテージ・ブレンデッドではなかったかと思うのです。
あんまり普及はしなかったみたいですが。



2015年1月29日木曜日

速報インプレ 〜初号ブラックニッカ復刻版〜



tobaccoのブログのはずなのにウイスキーネタが続いてしまいますが、それもこれも初号ブラックニッカ復刻版の美味さにぶっ飛んでしまったせいです。

近々発売されるとは聞いていましたが発売日までは知らず、たまたま入ったスーパーの棚にあったのを買ってきました。後で確認したら発売初日(1/27)でした。
呼ばれてました。

この初号ブラックニッカ復刻版は、創業者竹鶴政孝氏が1956年にブレンドし発売された初代「ブラックニッカ」の復刻版だそうです。
初代ということは二代目もあるわけで

初代:1956〜1965
二代目(スペシャル):1965〜
となっていて、ブレンドが異なります。

その他にブラックニッカという名前が付いたウイスキーには
ブラックニッカクリア(コンビニでも売っている最廉価版)
リッチブレンド(シェリー樽原酒を使った甘い香り)
ブラックニッカ8年(8年以上熟成の原酒を使ったブレンデッド)
と、なんかゴタゴタしています。


とまれ初号復刻版。
まずは手短に第一印象を書いておきますと、コク、パンチ、ピート、甘み、レーズン、バニラ、チョコレート、潮味、キレ、深い長い余韻。
全部ある。これでブレンデッド。
特に香りは余市譲りのバニラとピート。さすがにモルトには及びませんが(当たり前)、しっかりと受け継いでいます。
余市のグレーン割り。そのグレーンも上質。そしてWebページの説明によるとノンチル(常温濾過)。

現行のブラックニッカスペシャルやリッチブレンドも十分美味いのですが、この復刻版は反論を覚悟の上で正直に言ってしまえば、香りを除けば風味やウイスキーらしさの点ではサントリー「山崎」のノンエイジより上。これで1500円/720mlとは、いくらマッサン放映中とは言え、ニッカさん飛ばし過ぎでは?
と心配になってきます。

ブラックニッカリッチブレンドとはもう比較になりません。
リッチブレンドが美味いとは言え最初の飲みくちにアルコールの刺激が強く出るのに対し、初号復刻版は口に含んですぐにとろりととろけ、さらにピュアモルトのようなパンチとコクが舌に広がります。その後濃厚な風味が広がるのですが、その奥行きは雲泥の差です。

残念ながら最近現行のスペシャルにお目にかかってないので、スペシャルとの飲み比べができないのですが、復刻版でこれほどぶっ飛んでしまったということは、自分の記憶と舌を信じる限り、やはりかなりの違いがあるように思えてなりません。
こんなにトロっとはしてなかたし、ロックが合うウイスキーだったような気もするし奥行きも違うなあと、ぼんやりあいまいな感想。

しかしスペシャルも価格の割にはかなり上質なウイスキー。ライバルのランク上のウイスキーやブレンデッドスコッチを凌駕する味ですから、そのうち入手してしっかりと飲み比べしてみたいと思っています。

ロックや水割りが美味いかストレートが美味いかは、ブレンデッド・ウイスキーの場合、選択のとても大きな目安になると僕は勝手に思っているのですが、この復刻版はストレートが本当に美味いです。
水や氷で割るのが本当にもったいなくて、普段はシングルモルトをちびちび加水しながら飲む僕が、気が付くとチェイサーなしで二杯三杯と空けてしまうほどです。

12万本(1万ケース)の限定販売だそうです。
来月下旬にはハイニッカの復刻版も出るそうです。






2015年1月27日火曜日

ジャパニーズモルトの定点 〜ピュアモルトから余市へ〜





「余市」は日本を代表するシングルモルトウイスキー、ニッカ創始者竹鶴氏の酒造りの哲学を感じさせるウイスキーです。

スモーキー、ピーティ
濃厚
フェノール、カスク香
重厚さ、力強さ
バニラ香
フルーティさ
塩味

ウイスキーに欠かせない全ての要素をバランス良く持った稀有の存在です。
「余市」を飲むたびに、これ以上のものは要らないなあとつくづく感じます。
「宮城峡」が女性的なら「余市」は男性的なウイスキーと言えるでしょう。



しかしこのピーティな余市を始めとする濃い味わいのピュアモルトが日本人に広く支持されるにはずいぶんと長い年月がかかったように思います。

その先祖というか露払いというか、そういう役目を果たしたモルトウイスキーがあります。

日本でピュアモルト(大麦麦芽だけで蒸留〜熟成された、グレーンを混ぜないウイスキー)のウイスキーが販売されるようになったのは比較的新しくて1980年代です。

1982年頃にニッカから「シングルモルト北海道」が、続いてサントリーから1984年に「山崎」が発売されます。しかしこの頃はまだ日本ではブレンデッド全盛の頃で、また二つともかなり高価だったこともあって全くと言っていいほど認知されていませんでした。

それどころか「モルト」という酒の概念すらよく知られておらず、「山崎」のCMの名コピー「何も足さない、何も引かない」はアンチ派をして逆に「やっぱりサントリーは今まで混ぜ物だらけだったか」と邪推させてしまうような始末でした。
ニッカ「シングルモルト北海道」に至っては認知度はほぼゼロ。僕も存在は知っていても実物は一度も見たことがありませんでした。

まあそれでも今日の日本のウイスキーの「モルト」全盛のきっかけを作ったのはサントリーの地道な宣伝啓蒙のおかげといって間違いないでしょう。


一方、誰でも飲める安くて旨いモルトを日本で初めて作ったのはニッカです。
その名も「ピュアモルト」。
1987年発売で、僕も発売と同時に酒屋に走ったのを覚えています。赤、白とあって、確か後から黒が追加発売されたような記憶もありますが…3つ一緒だったかな、記憶が定かではありません。とにかく赤と白を抱えて帰った憶えがあります。

第一印象は、「濃い!強い!きつい!」でした。スモーキーでピーティー、
とにかく今まで飲んでいたブレンデッドのウイスキーとは別物で、香り、味の全てが濃厚でコントラスの強いものでした。

特に白は当時はアイラ・モルト(スコットランドアイラ島で作られるウイスキー、ピーティで個性的なウイスキーが多い)をバッティングしていたらしく、ピート香が当時としてはあり得ないほど強かったのでした。
一本(500ml)を空けるのにずいぶんと長いことかかりました。
これでは売れなかったと思います。

それでも飲みなれるとその力強さと味の濃さの虜になり、その後しばらくはウイスキーといえばモルトしか飲めなくなってしまった時期が長く続きました。これのおかげか知りませんが正露丸風味のラフロイグを初めて飲んだ時にも「美味い!」と素直に思えました。

その草分け的な「ピュアモルト」がやがて「余市」「宮城峡」に発展していきました。

《その他に「オールモルト」(「女房酔わせてどうするつもり?」という中野良子、田中美佐子、石田ゆり子らのCMとコピーで有名)や「モルトクラブ」というウイスキーもありますが、この二つはは若干伝統的なモルトの作り方とは異り、厳密にはブレンデッドウイスキーの部類に入ります》

ピュアモルト「黒」は「余市」と、「赤」が「宮城峡」と似ています。
「白」だけは現在、該当する商品がない感じです。やはりアイラ風味に振った味わいは、ジャパニーズウイスキーとしてはやや受け入れられ難いのかもしれません。

ちなみに「竹鶴」は「余市」と「宮城峡」のバッティングで、余市をまろやかにしたような味わいです。

ともかく「余市」ですが、芳醇な香りとアイラ的な力強さの両方を兼ね備えています。

「ノンエイジ」はウッディで力強さが際立ちややアルコールの角が残り男っぽい味わいが身上ですが、余韻のバニラ香がとても強く、気が付くと引き込まれてゆく深い味わいを持っています。特にハーフウォーター(ウイスキーをその半分以下の量の水で割る)ではパッと香りの花が咲いて、廉価版とは思えないほどです。

「10年」はややアルコール度数が高いのですが、逆に飲みやすくなっています。
アルコールの角が取れてまろやかになり、滑らかで甘く、フルーティさがやや出てきており、芳醇で心地良い余韻がいつまでも続きます。ただしバニラ香と潮味は少し弱くなっています。

味わいや余韻は明らかに10年、12年と経つに連れて深まっていきますが、ノンエイジが劣っている訳ではなく甲乙つけがたいところがあります。個人的にはノンエイジのはっきりとした味わいが好きです。よく売れているスコッチモルトの12年ものにも負けてないと思います。

ウイスキーはモルトにせよブレンデッドにせよ一般的に熟成年数の多いウイスキーほどストレートの方が美味しく飲めるのですが、熟成が足りずに不味い酒はロックや水割りにしないと飲めないようなところがあります。

その要因は「アルコール臭さ」にあると思います。刺激臭、刺すような味、そしてピートやスモーキーとは違う薬臭い苦味というようなものが残っているものです。

これが樽で長年熟成されると、不思議に和らぎまろやかで甘くなっていきます。舌に乗せ、それが喉に滑らかに落ちていく時の芳香、味、余韻が全て好ましく思えるようになるのです。

ところが「余市」や「宮城峡」はノンエイジから既に「アルコール臭さ」の嫌味はなく、独特の個性と強さを演出しています。そして10年、12年と熟成を重ねるに連れて、まろ味と長い長い心地良い余韻、後味が加わっていきます。
これこそが真面目な酒造り、美味いウイスキーの特徴です。

山崎が万人のためのウイスキーの完成形だとすれば、余市はウイスキー好きのための「ウヰスキー」、その完成形の一つと言えると思います。

ウイスキーの味に慣れてきたら、ぜひ試してみてください。






2015年1月20日火曜日

初めに何を飲んだらいいか 〜ニッカ「宮城峡」(ノンエイジ)〜


「ウイスキーを飲んでみたいけれど何を飲んだらいいか分からないのですが」と何人かに言われました。

そんな方にはとりあえず、ニッカの「宮城峡」かサントリーの「山崎」をおすすめします。この二つはジャパニーズ・ウイスキーのいわゆる「シングルモルト」と呼ばれるウイスキーの代表的な銘柄の一つです。

僕はニッカ党なのでニッカ「宮城峡」を特にお薦めします。

宮城峡はウイスキーというよりはブランデーに近いフレーバーとテイストを持っており、ウイスキーの独特の風味である「煙臭さ」があまりなく、逆にフルーティさが強調された華やかな味わいです。1万円を超えるようなハイランドスコッチに負けないほどの深い味わいが、わずか1500円(ノンエイジ)で手に入ります。ニッカのモルトはこのコストパフォーマンスの良さも魅力です。

山崎は日本人の「日本食」に慣れた舌にも優しい味わいですが、宮城峡はそこまで日本人の舌に合わせている訳ではなく、スコッチのシェリーカスクに迫るコシとコクが持ち味でバニラ香も強くブランデーやチョコレートのような味わいを持っています。


ちなみに「シングルモルト」とは一箇所の蒸留所で蒸留〜熟成されたモルトウイスキー(大麦だけで作られたウイスキー)のことを言います。
宮城峡は宮城県仙台市にあるニッカの宮城峡蒸留所で作られたモルトのみを使用しています。サントリー山崎は大阪府山崎蒸留所のモルトです。

何箇所かの蒸留所のモルトをブレンド(バッティング)して作られたウイスキーは「ピュアモルト」と言います。ニッカの場合、余市と宮城峡をバッティングして作られた「竹鶴」がそれに当たります。
なぜこんなことをするのかというと、ウイスキーは蒸留所によってまったくできるお酒の味や個性が違うからなのです。
個性の違う蒸溜所のお酒をブレンドしてさらに美味いウイスキーが出来上がります。
ニッカ「竹鶴」は「余市」のスモーキーフレーバーやパンチと、「宮城峡」のフルーティさを兼ね備えた素晴らしいウイスキーです。

シングルモルトやピュアモルトではないウイスキーは「ブレンデッド」と呼ばれます。これはモルトウイスキーの他に、グレーンウイスキーと呼ばれる、とうもろこしなど雑穀で作られたウイスキーをブレンドします。
スコッチなら「オールドパー」や「ジョニーウォーカー」ジャパニーズなら「スーパーニッカ」や「サントリーオールド」がそれに当たります。

モルトは味が強く濃いウイスキーになりますが、その分クセも強くなります。
ブレンデッドはスッキリとした味わいと、馴染みやすい「薄さ」が持ち味になります。
元々グレーンウィスキーはモルトウイスキーよりも効率良く安く作られる「混ぜ物」として存在していましたが、現代ではどちらが優れているとか高級とかそういう事ではなく、嗜好性の違いで分けられています。中にはグレーン100%のウイスキーもあります。

しかしやはりウイスキーの本来の美味しさや個性をわかりやすく味わいたいのなら、やっぱりモルトが適しています。
モルトは例えば焼酎以上に、銘柄による個性があります。焼酎なら芋と麦の個性ははっきりしていますが、モルトウイスキーの場合、同じ大麦を使っていながらその違いは芋麦どころか日本酒とワインほど違うことも少なくありません。
宮城峡はそのモルトの個性、違いが特にはっきり分かるお酒だと思います。


ところでワインがそうであるように、ウイスキーもヨーロッパの料理の味覚にある程度慣れてないと美味いと感じられない人もいるかもしれません。

本場のフレンチやイタリアンを誰でも気軽に食べられるようになったのが1980〜90年代、その頃にやっと日本にもカベルネ・ソーヴィニオンなどフルボディの赤ワインやヴィンテージが定着しました。それまでは日本料理に合わせた若い白ワインやロゼが好まれていました。

ウイスキーは料理と合わせるお酒ではないのでワインよりは神経は使わずに済みますが、それでもやはり単独で味わうには嗜好性の敷居はやや高いかもしれません。

それで長いこと水割りやハイボールという、ウイスキーの味をより薄めた飲み方が定着しました。
しかしウイスキーの味を一度知ってしまうと、水割りやハイボールではどうしても物足りなくなっていきます。

宮城峡もそんなお酒の一つで、もしも宮城峡をじっくり知るなら、トゥワイスアップ(ウイスキーと常温水1:1)がおすすめです。慣れてきたら徐々に水の量を減らして味わって見て下さい。バニラの香りやフルーツのような華やかな味がよりはっきりと分かるようになるでしょう。マリアージュにはぜひチョコレートを。

もっともワインと違い、それほどスノッブになる必要はありません。ウイスキーは自由です。
水割りやハイボールが美味しいと思ったら、そうして飲んでも間違いではありません。

宮城峡は、これまでウイスキーをニガテにしていた人にとっても、きっと新しい世界を広げてくれることでしょう。

宮城峡
種別:シングルモルト
原産国:日本
容量:500ml
度数:43%
熟成:ノンエイジ(3〜5年?)
樽:ウイスキー、シェリー

2014年12月23日火曜日

LAPHROAIG 15年

今から5年ほど前、煙と無縁の生活も長くなり、酒ももっぱらワインばかりになっていたある日、突然ウイスキーにぐいっと力づくで引き戻されるきっかけになったのがこのラフロイグ15年。昔のカティ・サークと並んで、いくつかある僕のウイスキーの定点の一つです。
2009年頃の現地購入で、15年というのは現在のラインナップにはないものです。

非常に個性の強いウイスキーで、好き嫌いがはっきり分かれるウイスキーです。
素性は非常にピーティ。世界のウイスキーの中でももっともピーティな部類に入ると言われています。
第一印象は、一言で言えば「歯医者の味と香り」。
クレオソート、正露丸にも例えられますがまさしくそんな感じです。
そしてピリッとしたバイトと塩味。

ところが2口目、3口目と進んでいくうちに新鮮な海の香りと塩気が押し寄せ、郷愁を誘う味わい。爽やかなソーダのような甘みも昇ってきます。
加水でピートアロマが増し、やがてフルーティさとバニラ香が増していきます。
後味はとてもキレの良いもので、爽やかさが残ります。

ところでこのラフロイグ、パイプととても相性がいいのです。特にラタキア入りのイングリッシュミクスチュア。
西洋のお酒のマリアージュは日本のそれとは違って割りと「似たもの同士」を合わせる事が多いようですが、それは掛け算のような効果を生み出すようです。
ラフロイグは強いピート香が持ち味。ラタキアもまた強い薫香が持ち味。その両方が出会うと、突如まろやかでフルーティな味と香りが強調されてきます。まるでマスカットのようです。それはシェリーカスク(シェリー樽を使ったウイスキーはシェリー酒由来の華やかなフルーツの味と香りが漂います)のような華やかなものではなく、熟成と化合によって生まれた抑制の効いた涼やかな素性のものです。

10年との味わいの違いはそれほど大きくはありませんが、15年の方がスモーキーさがまろやかで香りの強さに較べて飲みやすさは増しています。
ノンチル(冷却濾過なし)と言われる18年はまだ味わってません。そろそろ15年が空になるので遠くないうちに飲み比べしてみたいと思っています。

飲みやすいのは水割りです。できれば氷なしで。慣れたらストレートから徐々に加水も香りの変化を楽しめます。ただし香りが開くタイプではありません。



種別:シングルモルト
原産国:スコットランド(アイラ)
容量:700ml
度数:43%
熟成:15年
樽:バーボン


2014年12月18日木曜日

ウイスキーのこと

 自分語りになってしまいますが、僕はパイプと同じぐらい、ワインとウイスキーが好きです。
でもワインはパイプとはあんまり相性は良くないのです。

料理と同じで、やはりワインも美味しくいただくには煙関係は少し断つ必要があります。それで15年間の禁煙期間、もっぱらワインを楽しんできました。

その点、ウイスキーはとてもパイプ(やシガー)と相性が良く、パイプを復活してからウイスキーを飲む機会も自然と多くなりました。

折しもNHKの朝の連続ドラマ「マッサン」の放送や、サントリー山崎シェリーカスク12年(2013)が英雑誌主宰の大会(ワールドウイスキーバイブル2015)で世界一になった影響で、ウイスキーがとても人気だそうです。

「マッサン」はニッカの創立者にして日本のウイスキーの父、竹鶴政孝と竹鶴リタ夫人をモデルにした話です。
学生の頃、J.W.ニコルの文章やお酒の辞典を通じて竹鶴政孝の名前やニッカのウイスキーづくりの哲学に触れて以来のニッカファンで、マッサンも楽しく見ています。

ところで僕が初めてウイスキーに触れた頃はサントリーオールドとスーパーニッカ全盛の頃で、本格的なシングルモルトの山崎が出始めの頃。しかし当時のオールドやスーパーニッカは高級酒、山崎に至ってはもはや無縁の世界、学生にとってはサントリーホワイトやキリンNEWSなんていうのがもっぱらでした。

もっともそれらの安価なウイスキー()は水割りにして辛うじて飲めるようなものでお世辞にも美味いとは言い難いものでした。これでウイスキー嫌いになってしまう友人もけっこういました。


僕が初めてウイスキーをはっきりと美味いと認識したのは「カティ・サーク」というブレンデッド・スコッチでした。

このウイスキーはとてもスムーズで品の良いお酒で、初めて口にした時はなんと美味い酒なんだと感動したものです。
マイナス10度を下回る冬の厳しい盛岡での生活、寝る前にはこれをストレートであおってから眠りに就いたのを今でも覚えています。
現在のカティサークはやや味が落ちたと言われていますが、それでもウイスキーが初めての人におすすめしたい、素晴らしいウイスキーだと思います。

カティ・サークでウイスキーの味を覚えた僕は、その後学生の身分でも買える手頃な値段のウイスキーを探し続け(当時は輸入酒と国産酒の価格差が倍以上あったため)、「ハイニッカ」「ブラックニッカ」そして「ピュアモルト」と立て続けにニッカのウイスキーにハマってゆきました。


Japanese Whiskyはその頃に比べたら本当に美味くなりました。これは日本酒にも焼酎にも、そしてもちろん本場のスコッチにも言えることなのですが、銘柄は同じでも30年前とはまるで別物のウイスキーも少なくありません。

中でもニッカやサントリーのピュアモルト群は、本場のスコッチモルトにひけをとらないほどの深い味わいと個性を持つようになりました。


ワインもウイスキーも好きですが、詳しい訳でもなく細かいテイスティングやソムリエを気取ったようなことには興味はありません。
ただパイプ葉の事についてあれやこれや書くようになって以来、お酒についてもせっかく飲んで美味しかった記憶をただ消えるに任せるのが惜しく、文章にして残しておきたくなりました。

そんな訳でパイプtobaccoのレビューに紛らせながら、飲んだお酒についてもウイスキーを中心に少しずつ書いてみようと思います。

さほど珍しい(高い)お酒には巡りあう事もないかもしれません。
それほど気の利いたレビューが書けるとも思いません。
まあそれはそれとして思い出と出会いを大切に一期一会を書きたいと考えています。