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2022年12月20日火曜日

マミヤのコントラスト

 亡き父のマミヤ……はしばらく前に母が売り払っていた。


取り戻そう……と思って中古カメラ屋やネットオークションをだいぶしばらく彷徨った。


けれど、そのカメラは1950年代のマミヤの技術の粋を集めたような複雑な機構が売りで、調べていくうちに、おそらく手に入れられたとしても、60年後の今、まともに動くものを取り戻すのは無理だと分かった。


そこで僕は、父のものよりさらに4〜5年ほども旧い、性能は変わらないがややシンプルなモデルを手に入れることにした。


初めて現像から帰ってきた写真を見た瞬間

「あ、子供の頃に見た、あの光だ。」

と思った。



マミヤの光は、陽だまりだ。

「忠実故に平凡」と誰かが言ってたけど、僕にとってのマミヤはそうじゃない。

幼い頃の家の、マサキの生垣に反射した陽射しが、淡い緑と陰の深い深いコントラストを作り出し、その温度差まで伝わってくる。


生垣の陽だまりで感じた肌の温もりを今でも覚えていられるのは、父のマミヤのおかげだ。


そしてこの緑のコントラストは、今の僕の作風にも強く影響している。


僕のアート人生の大半は、色とコントラストの追求の歴史といっても過言ではない。


「黒を使うな」という最初の師匠の鉄の掟は、30代後半まで僕を苦しめた。

黒を使えない絵は、コントラストが甘くなる。

結果として色相環を無意識レベルで扱えるようになるまで叩き込むことになる。


もちろん今は4種類以上もの黒を使い分けて多用しているが、そんなこともあって黒という色を使わずにコントラストを上げる方法を10代は身につけた。


アクリルや水彩では、黒は「黒」だが、油彩ではピーチブラックやチャコールブラック、マーズブラックなど何種類もの黒がある。


プラス、僕はインディゴやペインズグレイ(国産と海外製とではこの色の意味するものはだいぶ違う)、さらにはプルシアンブルーを、混色やグレージングを利用して「黒」として使う。


それは、光のコントラストを確実に豊かなものにしてくれる「黒」達だ。


加えて「水晶」である。

水晶は、パワーストーン、パワーアートとしての役割だけを狙っているのではない。


光を集め、コントラストの極の一端を担う、大切な「画材」である。


強いコントラストは、強さと同時に優しさや懐の深い奥行きや暖かみも表現してくれる。


そんなコントラストを教えてくれたのが、幼い頃の、父のマミヤだった。



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2022年10月31日月曜日

個展への思い〜現時点でやれることはやった感謝の4週間

個展を見に来てくださったみなさん、ありがとうございます!

 2022年10月3日から30日まで約1ヶ月間という、自分史上最長の個展を体験しました。

ロングラン個展だと、作家は週に1度か2度在廊…というような持久戦で臨むようですが、僕は今回、全日程在廊を目指し、無事実現することができました。

おかげで多くの方々との出会い、交流はまたしても僕の宝となりました。

「アート」という敷居の高さを乗り越えて、電車やクルマで銀座に向かい、ギャラリーに足を運んで、サトチヒロの作品を見てくださったというのは、本当にもう「感謝」というような言葉では足りないほどにありがたいものでした。

個展のたびに身体がガタガタになりますが(笑)それでも個展というものは、何にも代えがたい珠玉のものです。



なぜ個展にこだわるのか?

僕は数年前まで出品していた公募展に出品することもやめ、アートストンギャラリーを除く企画展も殆ど参加しなくなりました。その代わり、個展をとにかくやれるだけやろうと決心したのが、コロナ禍の真っ只中、2020年のことでした。そして今年はとうとう、オール新作での個展が実現しました。

僕がなぜこれほどまで個展にこだわるのか?

改めてここに書いておきたいと思います。


1.アートは宇宙と宇宙を繋ぐコンセントである

まず、アートは自分にとっては僕の宇宙の自己表現であると同時に、社会あるいは見てくれるお客さんの宇宙、世界観とのコンセントと言えるものです。そこに到達するためにまずたくさんの方に見てもらいたいと思っています。それは一点や二点ではダメです。世界観そのものが、その場を支配している空間が重要なのです。制作している時点では無の境地でいる僕も、個展に出品する作品にはその世界観を大切にしています。


2.サトチヒロ作品をじっくりと味わい、時間をかけて向き合って欲しい

さらに一定時間足をとめて、そのアートと向き合ってもらいたいと思っています。じっくりと向き合うためには、ある程度閉ざされた落ち着いた空間が必要です。



3.サトチヒロ作品との対話、そしてインプレッションを語り合える

さらにその作品との対話を通じて、自己投影による解釈を加えてもらえたら嬉しいと思っています。その素晴らしいインプレッションを聞くためには、自分が常に在廊している必要があります。出会いや縁というのは不思議なものです。


4.サトチヒロ作品を購入することで活動資金をサポートして欲しい

アートは子ども同然の存在であると同時に、創作活動を支えるための資金を生み出す商品でもあるという矛盾を抱えながら「買ってほしい」と思っています。お客さんがその作品を「独占したい」と思ったとき、そして値段を見て、そのアートやアーティストに投資する価値があると判断した作品は買われていきます。そしてそれが部屋に飾られた時、アートオーナーだけに許された、長く知的で甘美な美への旅が始まるのです。それに値するものを絶えず生み出したいと思っています。個展はその大切な機会です。




5.サトチヒロ作品に触れる事で幸せになってほしい

あ、もし仮に購入できなくても後ろめたく感じることはありません。サトが作ったアートが、一人でも多くの方の人生にとって希望となったり、発想思考の転換のきっかけとなったり、幸福を提供できる存在であってほしいと願っています。そして他の人にもアートの素晴らしさや役目を広めてもらいたいと思っています。ギャラリーをそのための場にしたいし、年に一度のアートフェスはその一環です。さらにサトチヒロの個展もまたその場になりたいのです。


6.個展はアーティストと美意識を共有できる交流の原点である

お客さん一人ひとりと「アーティスト対客」という垣根を超え、人間と人間の親交や友情を深め、それをずっと継続したいという夢があります。それは僕を介さない、お客さん同士の交流も含めてです。美意識やアート思考を共有できる人は、必ず仲良くなれます。それが僕サトチヒロのアートを通じてなら、なんと素晴らしいことでしょう。僕の個展がその場になれるならこれ以上の喜びはないのです。


来年は、もっと皆さんが幸せになれるような、そんな個展を目指したいと思っています。

ご来場してくださった方々、ご購入くださった方々、そして応援を頂きながら残念ながらお越しいただけなかった方々も、心から御礼申し上げます。ありがとうございました。