2012年11月8日木曜日

バルトーク弦楽四重奏全集・東京クァルテット(1975〜1980)



バルトークの弦楽四重奏にぞっこんなのです。
やはり弦楽四重奏はなるべく全集で聴きたい。

そういう願いを持つ際に、良いニュースが一つ、悪いニュースがひとつ。


良いニュースは、バルトークの弦楽四重奏曲は6つだけ。だから予算的に安くて済む。これがベートーヴェンやハイドンになるとCDでも10〜数十枚になってしまう。
バルトークならCDでもアナログでも2〜3枚でいい。

でも、できればアナログで聴きたいなあ。

悪いニュースは、バルトークの弦楽四重奏なんて基本的にクラシック上級者やマニアしか聴かない。故に市場に中古のアナログレコードなんか出回るはずもない。

と思っていたし、実際中古レコード屋さんを廻っても、まず見当たらなかった。いやバルトークの弦楽四重奏曲そのものはあるんだけど、べらぼうに高いしバラバラで存在するだけだった。

ところが、友人に勧められて寄ったレコード屋で、よりによって東京クァルテットの全集が投げ売りされているのを発見!

自分的にはあり得ない値段。状態も素晴らしく良い。しかもドイツ版と日本版の両方がある!

もちろん即買い。
ただし僕はオーディオマニアではないので「音がより良い」とされるドイツ・グラモフォン(録音や初プレスがドイツなので当たり前)の方には目もくれず、丁寧な解説付きの日本語ライナーノーツが入った日本盤ボックス・セットの方を即買い。

バルトークの音楽についてここで何かを書くには、まだまだ知識も解釈も聴きこみも足りないので、説明はしません。

ただ、以下の2つのことは言えると思います。

ほぼ無調性の現代音楽なので、予備知識やチャンネルがないと全くもって聴けないほど、とっつきにくい。

バルトークは、ドイツ・オーストリアを中心とした音楽とは感性がちょっと違う。


僕もかつては無調性音楽なんて全く興味がなかったのですが、このバルトークは、スノッブでもなんでもなく、そこに浸ることができます。

これまで感じていながらどうすることもできなかった、具象と抽象、感情と分析的思考のはざまの、すっぽり抜けていたものを、バルトークが音楽的示唆によってひとつひとつ埋めてくれている気がするのです。

2012年11月6日火曜日

ヘルベルト・ブロムシュテット指揮 バンベルク交響楽団




2012年11月1日(木)
ベートーヴェン:交響曲第3番 変ホ長調 op.55 「英雄」
ベートーヴェン:交響曲第7番 イ長調 op.92

(アンコール ベートーヴェン:エグモント序曲 op.84

2012年11月6日(火)
モーツァルト:ピアノ協奏曲第17番 ト長調 K453(ピョートル・アンデルシェフスキ)

(アンコール バッハ:フランス組曲第五番からサラバンド)
ブルックナー:交響曲第4番 変ホ長調 「ロマンティック」(ノーヴァク版)








1日と6日とも堪能してきました。

特に6日は素晴らしかった。体調があまり良くない中で行ったのに、帰る頃にはすっかり良くなって陶酔の中にいました。全くオーバーでなく歴史に残る名演と言ってもいいのではないだろうかと思います。

詳細な感想や批評はここでは書きませんが、ブルックナー4番を演奏するというのはブロムシュテットにとって、そしてバンベルク交響楽団にとって、(いろんないきさつや由来があって)本当に特別で素晴らしい事なのだと実感しました。



もう一つ、ピョートル・アンデルシェフスキ(ピアノ)のアンコールで演奏されたバッハ(たぶんフランス組曲第5番サラバンド)は、この世のものとは思えない美しさ。


演奏が終わっても、拍手がしばらく起きなかった。それだけ彼のピアノに吸い込まれ、感動の渦の中に聴衆全員が飲み込まれていました。


このアンコールの時も、そのあとのブラ4の時も、なかなか出会えない、会場中のすべての人の感動の共有感というものが、
この夜のサントリーホールにはありました。



正直に言って、6月のパーヴォ・ヤルヴィよりもずっと感動が深かった。
そして、何度も言いますが全然負けてないのが日本の飯守泰次郎です。