2014年6月18日水曜日

Dunhill MyMixture 965




ダンヒル・マイミクスチュア965
キャベンディッシュ、ラタキア、トルコ葉。
製造国:デンマーク(OEM)

名作にしてスタンダードなイギリスタバコの代表。
日本でもおそらくパイプ喫煙者支持率ナンバー1だと思う。
ここで改めて何かレビューをする必要もないほど。

ラタキアという独特の香りを持つ加工葉を程よくブレンド。
ラタキアはシリアのラタキア発祥の加工葉で(アレッポといいシリアはいいものが沢山あります。早く平和に戻ってくれー!)分かりやすく言うならタバコの燻製。独特の香りと風味が、パイプの味わいを深くしてくれる。
しかし国内のネットを見ていると、ラタキアや、ラタキア入りのこの965を初心者向きのタバコとして紹介しているレビューに出会う事がある。
本当にそうだろうか。

確かに例えば初心者にパイプ喫煙の素晴らしさをテットリ早く知ってもらうには、マイミクスチャー965はうってつけだと思う。
でも、これを始めとするイギリスタバコはやはり上手に吸うのは難しい。
旨さの片鱗はすぐに分かっても、プレミアムシガーと比肩すると云われる独特のアロマを醸すには相応の年季とコツやタイミングが要る。なんといっても火持ちがよろしくない。

マイミクスチャー965をプレミアムシガーになぞらえる評にはネット上で賛否両論出ているが、僕の場合はシガーと965が同じとか違うとかいうのではなく、比肩するほどのタバコ本来の深く複雑なアロマを965は確かに持っているという評を表明しておきたい。

ただしそれを引き出すのは簡単ではない。比肩というのは例えばダヴィドフがハバナに比肩しながらハバナではないのと同じ。ダヴィドフがハバナでなくなってから長い年月を経て、世界中の優れたタバコをブレンドしてハバナを超えるほどの高貴なアロマをたくわえてはいるけれど、加湿を間違えばやはり酷いもんだしダヴィドフを美味く吸うにはシガーの事をよく知る必要がある。そしてダヴィドフのアロマとハバナのアロマはやはり決定的に違う。


965は最終的に上がりのパイプ葉になるような気がなんとなくしている。
長い中断を含めて30年間、Tobaccoと付き合ってきても、例えば無人島にTobaccoをどれか一つ持って行くならどれ?と聞かれたらやはり迷わずこれを選ぶだろう。

他に旨いtobaccoはいくらでもある。同じダンヒルで選んでも、例えばRoyalYachtと較べて決してアロマが強いタバコではない。でもロイヤルヨットを一日中は喫えない。
強すぎず弱すぎず、要するにちょうどいい。パイプtobaccoを扱っているお店なら全世界どこでも手に入る。いろんな銘柄のいろんな味を知り、結局ここに戻ってくるみたいなそんなちょうど良さ。

長く付き合うのだから、濃すぎて飽きてもいけない、あっさりすぎて物足りなくてもいけない、浅くも吸えるが、深くも吸える。そういうもの。それはラタキアと無着香キャベンディッシュとオリエントのブレンドでなければ手に入らないと思う。

生葉はラタキア本来の燻製香と熟成香でむせかえるようだ。葉様は水分やや多めでしっとり、上手に喫するには念入りにもみほぐしが必要。
OEMになってから着香されているとの評もあるが、一見して例えばロイヤルヨットのような明らかな着香の痕跡は見られない。

火を付けた瞬間に癒しと沈思の淵に持って行かれる。序盤は甘みは少ない。お香やアロマテラピーにも似ている。火持ちはイギリスタバコの常で決して良い方ではない。ボウルは大きめのものを選びたい。

中盤から味は甘みが多くなり、アロマは徐々に少なくなっていく。ここで丁寧に吸えば甘みと雑味が程よくキープされる。急いで吸えば野性味を味わえる。

時間帯は夕刻から就寝前。
合う飲み物は、ウィスキー、コーヒー、日本茶、中国茶、水。
1750円/50g(2014年)


  1. 生葉芳香 弱←○○○○○○★○○→強
  2. 甘  み 弱←○○○○★○○○○→甘
  3. 味の濃淡 淡←○○○○○★○○○→濃
  4. 熟成感  若←○○○○○★○○○→熟
  5. アロマ  淡←○○○○○★○○○→濃
  6. 満喫感  弱←○○○○○★○○○→強
  7. 舌アレ度 弱←○○○○○★○○○→強
  8. 火持ち度 悪←○○★○○○○○○→良
  9. 常喫可能 無←○○○○○○○★○→有
  10. 個  性 弱←○○○○○★○○○→強

2014年6月16日月曜日

Jose Llopis Mini


Jose Llopis(ホセジョピスと読むらしい)。
だいぶ前に冗談のつもりで買ったパナマ産の安物ミニシガー。

ハンドメイドのプレミアムシガーと書いてあるにもかかわらずヒュミドールにも入っておらず紙箱むき出しの状態でアヤシイ加賀屋(新宿紀伊國屋ビルの奥にある老舗の煙草屋さん)の店内に吊るし置いてありました(セロハンもなし)。

このままじゃ不味くて吸えまいとしばらく加湿してました(不味いシガーでも加湿熟成すると吸えるようになることがある)。
すっかり存在を忘れていたのですが今夜ふと見つけて試しに火を付けてみると、びっくりするほど美味で驚いてしまいました。

シガーはやはりハバナ産が一番ですが、日常的に灰にできるほどの身分では「まだ」ありませんので、ドミニカとかニカラグアとかの安物を試してはほぼ10割の確率でハズレを引きっぱなし。シガーは農産物なので、当たり外れも大きいのです。半ば諦めてハバナ産のシガリロ(シガレットサイズの小さな葉巻)をちみちみやっておりました。

しかしこれは久々にヒットかも知れません。1本あたり180円。これならクラブシガー(シガリロのワンサイズ上)より大きくて経済的でデイリーシガーに十分なり得る。
大きさはパナテラ(いわゆるシガー最小サイズ)とクラブシガーの中間ぐらい、バーに持ち込んでもゆっくりと味わえます。

安葉巻にありがちな金属臭や辛味もほとんどなく、アロマが強くて甘く、堆肥っぽさがハバナを野生化した感じ。

海外サイトを見ると、フィラーとバインダーがパナマでラッパーがニカラグアとあります。箱にはハバナシードと書いてある。アメリカではハバナが手に入らないので(1960年代以来、経済制裁のため禁輸)、こういう事をやって代用してるんですね。
唯一の難点は、加賀屋でしか手に入らないことかなあ。

2014年6月1日日曜日

Stanwell Vanilla



ダークキャベンディッシュ、バーレー、バージニア、熟成トルコ葉、バニラ

封を切った瞬間に甘いバニラと蜂蜜(もしくは砂糖)の甘い香りが飛び出してくる。バニラと言えばシャグのコルツバニラの印象を僕は強く持っているが、火をつけるとアロマがどこかに飛んでしまうシャグとは違って、これは火を付けてからもバニラの香りは消えずにアロマやルームノートとしていつまでも楽しめる。

もっともパイプタバコでバニラフレーバーというのはたくさんあってその中でスタンウェルが抜きん出ている訳ではない。非常に素直でルームノートに嫌味がないので気軽に吸える。とにかくバニラの香りで満たされる。蜂蜜とバニラ、それ以外の雑味や深みはない。
とにかくスタンウェルは素直でシンプル。昼間からバニラじゃ重いかなあと思っても、日が傾き始めたら意外に手が伸び、スッキリ吸えたりする。

葉様がしっとりしていて水分が多めに感じるが序盤の火持ちはまあまあ、舌焼けの心配は少ない。葉のカットがやや大きめのラフカットなので少しほぐしが必要。揉むと指がキャベンディッシュで黒くなり、バニラと糖分でべとつく。終盤から火持ちが悪くなりがちで、ジュースは出ないが固まりがちで葉起こしが何度か必要になる。タンパーとピックを交互に使い分けする必要があるので、ながら吸いには向かない。喫後、飴のようにボウルにタールがつくので掃除にやや手間。カーボンを手早く付けたい人にはちょうどいいかも。
夕食後がおすすめ。合う飲み物はホットミルクまたはミルク入りのコーヒー。

価格:1250円(2014年)

  1. 生葉芳香 弱←○○○○○○○★○→強
  2. 甘  み 弱←○○○○★○○○○→甘
  3. 味の濃淡 淡←○○○★○○○○○→濃
  4. 熟成感  若←○○★○○○○○○→熟
  5. アロマ  淡←○○○○○★○○○→濃
  6. 満喫感  弱←○○○★○○○○○→強
  7. 舌アレ度 弱←○○○★○○○○○→強
  8. 火持ち度 悪←○○○○★○○○○→良
  9. 常  喫 無←○○○★○○○○○→有
  10. 個  性 弱←○○○○★○○○○→強