2014年2月26日水曜日

David Bowie / Space Oddity (1969)






デヴィッド・ボウイ初期の曲で絶対に欠かせない一曲があります。1969年にヒットした「Space Oddity」。
80年代に日本で初めて出版されたデヴィッド・ボウイの歌詞集のタイトルにもなっていました。


スペース・オディティは、宇宙船のトム少佐と地上管制塔とのやりとりが歌になっています。トム少佐は宇宙船から宇宙遊泳に出て、そのまま宇宙空間に消えて帰らぬ人となります。まるでゼロ・グラヴィティのマットコワルスキーのような話です。

虚無感と浮遊感、哀しみとあっけらかんとした楽観が同居していて本当に不思議な曲です。ボウイを代表する曲の一つで、スペースシャトルで歌われたりと今だに時々世界のどこかで話題となる曲です。イギリス発売とヒットの時期はアポロ11号月面着陸と完全に被っています。

アルバム自体はボブ・ディランの強い影響や自己の60年代の鳴かず飛ばずの時代の曲調を引きずっていてお世辞にも名盤とは言い難いところもありますが、この表題曲に限っては、キング・クリムゾン以前にエピタフのようなメロトロンアレンジを使ったり(スペース・オディティのほうが数ヶ月早い)、後のクイーンのロックオペラのような構成を持っていてとても斬新な曲です。デヴィッド・ボウイの世界を確立した記念すべき曲です。

この12年後に、ボウイはアルバム「スケアリー・モンスターズ」のAshes to Ashesという曲で「トム少佐はジャンキーだったのさ」と、まるでスペースオデティを丸ごと否定するような歌詞を披露しているのも有名な話です。

それにしても初期の彼の曲にはコックニー訛りがあちこちに出てきます。しかもいつもではなく時々。わざと?

Space oddity


2014年2月21日金曜日

Sparrow 2


Sparrow 2 / Part of "So, and we've come back here again" /  F50 / wood panel (2014) / ChihiroSatow

David Bowie / The Rise and Fall of Ziggy Stardust and the Spiders from Mars(屈折する星屑の上昇と下降、そして火星から来た蜘蛛の群)(1972)



前期デヴィッドボウイの名作。

すごいアルバム名(特に邦題)ですが、要するに、火星から来たジギースターダストは、デヴィッドボウイ自身のこと。スパイダーズは、彼のバックバンドの事です。
(火星からなのは蜘蛛の群だけでなく屈折した星屑も...しかし蜘蛛の群て…)

この頃のデヴィッドボウイは、火星から来たことになってました。このアルバム発表のツアー向けのキャラクターです。
その後2〜3年で彼はそれを撤回しますが、ファンはそうは受け取りませんでした。
僕の記憶では1980年頃までは確かに火星人だったはずです。その後地球に帰化してセリアズ少佐になります。

このアルバムのサウンドを一言で表すと、音楽のデパート。
モチーフ、パッセージ、エフェクトに至るまで当時のイギリス音楽の最新モードで埋め尽くされています。

自身のソウルやR&Bの素地はもちろん、当時のジョンレノン、ボブディラン、ローリングストーンズらの影響を強く受け、マークボランやエルトンジョン、その他プログレのグループとパラレルに新しい音楽の次元を作っています。

しかし後に出てくるクイーン、イエスやジェネシス、パンク〜ニューウェーブまで継ぎ目なく繋げてしまってるのは、ボウイだけでは?
そう感じさせるほどに縦横無尽にパッセージやビートが踊ります。

聴けば聴くほど深いところに入り込み、忘れられなくなるアルバムです。

Starman(TV Live)
http://youtu.be/4B5zmDz4vR4

この曲を知らなくても人生のどこかで一度は耳にし、そしてたった一度だけで忘れることのできないサビのメロディです。