2014年10月27日月曜日

Davidoff PRIMEROS(Maduro)



ダヴィドフ・プリメロス・マデューロ
製造国:ドミニカ
サイズ:ペティパナテラ(10.5cm)
種別:ドライシガー

久しぶりのダヴィドフ。といってもドライシガー。いや、ドライシガーと言えどもダヴィドフ。他とは一線を画する。

ここで改めてダヴィドフの魅力について語る必要はないと思うが、一度でもダヴィドフのプレミアムラインを味わった事があれば、シガー文化に感激崇敬できる事は間違いない。ダヴィドフが自社のシガーをワインに見立てているのは決してイメージだけではない。シガリロやドライシガーであってもそれは変わらない。

PRIMEROSもその例にもれず加湿して喫えばその辺のプレミアムシガーも裸足で逃げ出すほどの気品と味わい。
PRIMEROSは直訳すると「一番」とか「初め」という意味。文字通りダヴィドフを初めて体験しダイジェストで味わうことができる逸品だと思う。
PRIMEROSシリーズは全部で4種。ニカラグアが2種、ドミニカが2種。これはドミニカのラッパーがより熟成された方の「Maduro」。

生葉の芳香はそれほど強い方ではないが、発酵したラッパーの熟成香が心地よい。
序盤はとにかくスムース&マイルド。火を灯した瞬間からほのかな土と太陽の香り。気品に満ちた熟成香。蜂蜜の喫味が後を追う。
中盤、喫味もアロマも大きく変化せず、コクとメリハリが増してゆく。終盤になればなるほどクリーミーなアロマが増して火を消すのが惜しくなる。ドライシガー特有の枯葉臭もないことはないが、加湿さえきちんとできれば全く無視できるレベルのものに抑えられる。

Tin缶に銘記されている「MADURO」とは熟成という意味で、乾燥熟成された高級ラッパーだけに冠せられる。

サイズはダヴィドフの公式サイズでは「ペティパナテラ」というサイズ。デミタスとほぼ同じだがやや太め(約14mm)でペティコロナに近い。喫煙時間は約40分。充実した一日の終わりに至福の時間が流れる。コーヒーにも最適。

日本国内では6本入りで6000円前後、DutyFreeで4000円前後。デイリーシガーとしては若干高めだが、ダヴィドフとしては破格の安さだと断言できる。


2014年10月21日火曜日

Samuel Gawith Golden Glow



サミュエル・ガーウィズ ゴールデン・グロウ
使用葉:バージニア
原産国:イギリス
価格:1900円/50g(2014)

日本の店頭で手に入るサミュエルガーウィスのフレークは9種あって、そのうち着香やブレンドなしのストレートバージニアを味わえるのは、フルバージニア、ベストブラウンフレーク、そしてこのゴールデングロウの3種。

この3種のストレートバージニアの位置関係は簡単に言えばストーブ(葉の加熱乾燥)と圧縮熟成の度合いで分けられる。
ゴールデングロウはその中でもっとも浅煎りで熟成も浅い。ゴールドバージニア(と銘打っている)というほどではないが、かなり素に近いバージニアの味が楽しめる。
青臭さはやや残るものの、バージニアとは本来こういう味わいのものだと教えてくれるような奥の深い味覚を刺激してくれる。

葉様はやや明るいブロークンフレーク。生葉の香りはまるでパンのような甘い芳香。
つまみ上げた葉はややしっとりしているが軽い。サミュエルガーウィスのフレークの中ではむしろ乾燥している部類に入るだろう。それでも開缶してから数日経ってからの方がストレスなく喫える。
少し手でほぐし、部屋の湿度に慣らしてから詰める。時間の目安はできれば30分以上。あまりほぐしきらずにかたまりも残しつつ詰めると火種も小さく済む。

ストレートバージニアに共通する欠点は「バイト」だ。相当気をつけてスロースモークしないと舌にきつい。それは舌荒れというよりも青臭さによる渋みとエグ味の刺激で、口腔内喫煙であるにも関わらず喉まで痛くなることさえある。

それ故神経質にドローしながらゆっくりと、しかも休み休み燻らせる事を余儀なくされる。バイトを最低限に防ぐためには火種を小さくすること。火種を小さくするためには「ラブ(ほぐし)」の度合いをなるべく少なくするのがいい。理想的にはフレークのまま詰めるのが良いが、乾燥と火持ちの兼ね合いもあるのでいろいろ見極めながらコツをつかむ必要がある。ちなみに火付き火持ちを気にするあまり念入りに揉むという方法もあるが、深煎りや長期熟成した葉においては正しいが浅煎りのバージニアではバイトの原因となるので注意が必要。また風味もだいぶ変わる。

序盤、火が安定するやいなや甘い香りと喫味が周囲を包む。青臭さは殆ど感じられずスムーズ&スイート、しっとりとしたパン・ド・ミを頬張ったような幸福感に満たされる。
良いストレートバージニアは、葉の品質、ストーブ、熟成の三拍子が揃って初めて成立するがゴールデングロウはこのバランスがとても良い。

中盤はやや青臭いアロマが出てくるが、同時に喫味に若々しい香ばしさが出てくる。サミュエルガーウィスの特徴で、甘さだけでないフローラルで複雑なアロマと風味だ。スロースモーキングしている限りはあくまでもマイルドだが、過燃焼気味になるとあっという間に牙を剥くので注意。舌にも来るが、どういうわけか喉を刺激する。

クライマックスは終盤。青臭さは消えスピード感が増してくる。バイト感も引っ込んでくる。甘さが引っ込んで葉巻のような感覚が出てくる。もちろん葉巻のそれとは決定的に違うが、土の香り、雨上がりのような空気感が柔らかに漂う。とても香ばしく豊かだ。

ストレートバージニアフレークにはダンヒルフレークという名作があるが、ダンヒルフレークが全く神経を使わずに喫えるのに対し、ゴールデングロウは非常に繊細な部分を持っている。味を引き出すのにはやや苦労するが「カチッ」と何かがハマる瞬間があって、一度そこに突入すると圧倒的な風味が押し寄せてくる。しかも喫う度に表情が全く違う。このテイストの情報量の多さは他のストレートバージニア葉とはちょっと比較にならないのではないだろうか。「甘い」だけがストレートバージニアと思い込んでいるとゴールデングロウの真価は分からないが、気づきさえすればこのtobaccoに飽きてしまうことはそうそうないだろう。

最後はやや渋みが勝って終わる。この渋みもまた、中盤の青臭さとは無縁の熟した喫味で好感が持てる。ウェットになりがちなため最後まで喫うにはややテクニックがいる。

舌荒れの危険性は大、合う飲み物は水。時間帯はデイタイム。なるべく味覚の鋭敏な時間帯がいい。ニコチンは強め、空腹時は避けたい。

  1. 生葉芳香 弱←○○○○★○○○○→強
  2. 甘  み 弱←○○○○○○★○○→甘
  3. 味の濃淡 淡←○○★○○○○○○→濃
  4. 熟成感  若←○○○★○○○○○→熟
  5. アロマ  淡←○○○○★○○○○→濃
  6. 満喫感  弱←○○○○○★○○○→強
  7. 舌アレ度 弱←○○○○○○○★○→強
  8. 火持ち度 悪←○○○○○○★○○→良
  9. 常喫可能 無←○○○○○○○★○→有
  10. 個  性 弱←○○○○○★○○○→強










2014年10月18日土曜日

AVO Domaine Avo Puritos




ドメーヌ・アヴォ・プリトス
フィラー:ドミニカ、スマトラ他
ラッパー:エクアドル
製造国:ドミニカ共和国
サイズ:プリトス(9.8cm)
種別:ドライシガー

僕がシガー好きと知る友人からのアメリカ土産のAVO。国内でも買えるがなんとなく価格帯が微妙でなかなか手が出ないでいた。
ニューオリンズで手に入れたというから限りなく産地直送に近い。ありがたく頂戴した。

ドライシガーの部類に入るが、巻きはハンドロールでプレミアムシガーと変わらない。
シガー大国のアメリカでは政治的理由でハバナが手に入らない。そんなわけでプレミアムシガーの主流はドミニカ産だということだが、かつてのキューバにあったアメリカ資本のシガーメーカーの多くがキューバ革命の際にドミニカに逃れている。そのせいかドミニカンシガーには、どうにかしてハバナを超えてやるというような一種気合のようなものを感じる。

AVOは比較的新しいブランドで1980年代後半の立ち上げ。アメリカのジャズ・ピアニストAvo Uvezian(アヴォ・ウヴェジアン)の名前を冠している。ストーリーとしては彼が立ち上げたブランドという事になっているが、実際にはシガー好きのアヴォが初めてヨーロッパでのツアー中にハバナを喫い、それに感動してドミニカで理想のシガーを求めてシガーメーカーにオファーを出して作らせたというのが始まりらしい。そのレシピが秀逸であったために権利化、事業化しダヴィドフが製造する。

AVO Notturnoというコロナサイズを初めて喫った際、とてもハバナに近い喫味でびっくりした憶えがある。しかしハバナよりもっと洗練されたというか軽やかな喫味が特徴で、引っかかるものが何もない。

このPURITOSも非常にスムーズで爽やかだ。
土の香り、日なたの落ち葉に包まれたようなアロマ、熟成感、エグみ、全てにおいて中庸でマイルド。
ダヴィドフのパナテラからあの高貴だがどっしりとしたアロマや余韻を差し引いた感じで、プレミアムシガーに負けない素晴らしいアロマと喫味を味わうことができる。少し加湿してやると、もはや「ドライシガー」の部類に入れてしまうのが失礼なほどの味わいだ。

巻きがやや粗め、硬めで吸い込みにやや苦労する部分もあるが、ばらつきというよりは意図的な感じもする。短めのシガーをゆっくり味わうにはかえってこのぐらいの方がスロースモーキングできて良いのかもしれない。

国内で買った場合は10本入りで3800円。一本あたり380円だからデイリーシガーとしてはかなりのコストパフォーマンスだと思う。

ちなみにDOMAINEは日本ではしばしば「ドメイン」と発音して紹介されるが間違いで、正確には「ドメーヌ」というフランス語である。
これはダヴィドフ系列の特徴で、シガーのブレンドやその成り立ちを、ワインのぶどう畑やシャトーに見立てて商品名を付けている。「ドメーヌ」は「シャトー」とほぼ同意でシャトーは主にボルドーに使われ、ドメーヌはブルゴーニュ。つまりは「アヴォ酒造」というような意味合い。

喫煙時間:約30分