2014年8月3日日曜日

Peterson System Standard 303


名称:ピーターソンシステムスタンダード303
形状:アップルベント型
製造国:アイルランド
ボウルチャンバー:内径約19mm、深さ約31mm 
フィルター:なし
平均喫煙時間:約80分。


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初めに言い訳すると、僕はあまりパイプにこだわりは持ってません。
パイプをコレクションするより、一種類でも多くのtobaccoを味わいたいのです。

一方ではパイプの形状や出来不出来によって喫味が大きく変わるという認識は人一倍持ってもいます。
自分のローテーションとバリエーションのペースを考えると最終的に少なくとも20〜24本は必要だと思います。

パイプ生活中断期に愛用パイプを紛失してしまったこともありますが、まずは実用第一に揃えている途上です。
ただその増加率もせいぜい1ヶ月に1本のペースでとても自慢するような逸品はありません。

故にブログで紹介するまででもないと思っていましたが、パイプ葉についてあれこれ書いている以上、やはりそれをどのようなパイプで味わっているのか一応は書いておかないと片手落ちになるなあと思い、恥ずかしながら少しずつではありますが開陳することにしました。
普及品の求めやすいパイプばかりですので、これからパイプを始める方の参考になれればと願います。

初回はピーターソンシステムについて書きたいと思います。

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スタンダード303はピーターソンシステムのラインナップの基礎となる製品で、ピーターソンならではの典型的なフォルムを持っている。

ピーターソンシステムは変わり種のパイプで、他のパイプとはちょっと異なる構造をしている。
普通のパイプはボウル〜シャンク〜マウスピースまで煙道は一直線につながっている。

しかしピーターソンシステムはボウルからシャンクに抜ける煙道が、マウスピースの穴とは直線で繋がっておらず、オフセットしている。

正確には煙道は一度シャンクの中の部屋に斜めに出る。そこでエンド。その部屋にマウスピースの先端が伸びてきて、煙が出て行くようになっている。


この事がどういうメリットを生むかというと、ボウルから部屋(ジュースチャンバー)に入った煙が冷やされて、ジュース(※)はジュースチャンバーに溜まり、湿気は内壁に吸われる。結果としてドライで冷やされた煙だけを吸い込むことができる。
このことで、さほど気を使わなくてもドライ&クールスモークが可能になり誰にでも理想的なスモーキングができるというシステムだ。パテントも取得されている。

ピーターソンのメリットはなんといってもジュースを気にせず吸えること。だから湿りがちなイギリス葉には持ってこいだ。含水率の高いtobaccoでもイージーに喫うことができる。
ベント形状も理想的で、長時間咥えっぱなしでも疲れが少ない。

特に感心するのはパフィングの時だ。
普通のパイプでは、火持ちを復活させる時に行うパフィングは味を落とすし舌を荒れさせる原因にもなるのであんまり頻繁にはやらない。ところがピーターソンではパフィングしてもゆっくり燻らしている時と味の差がそれほどではない。
この事は良し悪しで、ついついふかし気味に吸う事になるため味がおおざっぱになったり喫煙時間がやたらと短くなったりすることにも繋がるので注意は必要だ。

あまり知られてないピーターソンの長所として、連続使用が可能という点があげられる。
これはシャンクとマウスピースがテーパ式で喫後割とすぐに外せることと、ジュースチャンバーの水分キャパシティが大きいことによる。

ワンボウル目の喫煙が終了したらマウスピースを外し、モールでボウル、煙道とマウスピースを掃除し、ジュースチャンバーの水分をテッシュなどで丁寧に拭きとる。そうすることで3ボウル分ぐらいなら喫味も火持ちも落ちずに喫える。ちなみにジュースチャンバーの完全な乾燥には約一日かかる。

パイプの完全な掃除は常にシャンクとマウスピースを外して行い、ジュースチャンバーの乾燥のために分解したまま保管する。
マウスピースの煙道ルートが独特なため、掃除には特殊なモールが必要と思われがちだが、実際は普通のモールで十分に貫通できる。コツは、モールの細い方をマウスピースのシャンク側から通し、くるくると回転させながら進めていく。

煙道がボウル最底部ではなくやや上についているため、吸い残しがやや多めになることがある。最後まで吸いたい時は葉を煙道側に寄せるなどの工夫が必要だが、そうした喫い方よりも、灰をなるべく捨てずに喫い、残り葉は潔く捨てた方が味が落ちずに済む。

マウスピースの形状は好き嫌いが分かれるかもしれない。他のパイプのように正面に煙の出口が開けられておらず、上付きでちょうど上顎にあたるので、舌荒れは起きにくいが上顎荒れが起きることがある。
またこのことにより味がダイレクトに舌に乗ってこないことがあるのと、ブロー&ドローの際タンギングできないので、息の調整、特にブローがなんとなくぞんざいになってくる。逆に言えばぞんざいな喫い方でもそれなりに喫えてしまうということが特徴で、逆に感覚的な操作はやや難しいパイプということは言える。

もうひとつついでにこれは製造工程の問題だが、ブライヤーを染料で染めているせいか掃除のたびにモールが盛大に赤く染まる。

ピーターソンシステムは、総じて本流に位置するパイプではないと思う。しかし一度このイージースモーキングを体験してしまうと手放せなくなることは確かだ。特にながら吸いの多い人、イギリスtobaccoを愛する人にとっては愛用になることは間違いないし、クールスモーキングとは何かということを把握するには最適なパイプだと思う。特にパイプを始めたばかりの人にとっては、パイプスモーキングの最初の壁を乗り越える大きな味方になってくれるはずだ。

合うtobaccoは主にイングリッシュミクスチャー系。




(※)ジュース:tobaccoの葉は水分を含んでいるので、燃えると水蒸気を発生させる。その水蒸気が煙道に溜まる苦い味の水のこと。口元まで上がってくることは滅多にないが、ジュルジュルとイヤな音を立てたり、喫味を損なう事がある。なるべくジュースが出ないようにゆっくり喫するのが基本だが、葉の個性によってはそれを気にする事自体が煩わしいこともある。






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