2014年7月26日土曜日

藝術の5条件

かつて藝術なんて何でもありと僕も漠然と考えていた。
しかしある時、藝術を藝術たるものとして惹かれて見る時
あるいは自分の作品を構築する時、自然体になればなるほどある条件に合致したものしか残ってないことに気づいた。それは

  1. 自然
  2. 体験
  3. 論理
  4. 無意識
の5つ。
これまで影響を受けた作品、自分が作った作品ともに、この5つのうちの一つでも欠けたものは存在しない。

1.自然
常に自然が題材であること。自然を描き出したもの、自然からテーマを貰う以外に創作の動機はない。自然の営み、自然の風景、自然が作り出すもの。美とは自然そのものであり、自然からインスパイヤされたもの以外の美は存在し得ない。

2.体験
その自然に触れて自分が体験したものだけが画面に現れる。佳き体験、美しき体験。それは穏やかであるとは限らないし、逆にセンセーショナルであるとも限らない。絵に具体的に描かれているとも限らない。エネルギーに満ちてはいるが、普通の人はおそらく見過ごしてしまうかもしれない。自然が放つエネルギーは人に影響を強く与えるものほど気づきにくいものだ。作者の体験はそれが描かれていなくても画面に現れる。それは共鳴である。美とは共鳴であり共意識である。違和感のある絵は作者が美の体験をしていないか咀嚼できていない。

3.論理
絵にしろデザインにしろ全ての作品にはコンセプト(概念的テーマ)がある。しかしもっと重要なのはそこに表現されているもののロジック(論理的構成)である。優れた音楽に必ずロジックがあるように優れた絵画にもロジックが存在する。もっとも論理的構成に関する説明がなければ鑑賞できないというのであればその作品は未完成であり、そんなものを知らなくても作品は鑑賞に耐えなければならない。しかしもしも説明を求められてコンセプトもロジックもありませんと言ってしまえばそれは芸術とは言わない。作者の論理思考があってこそ鑑賞者は自由にその作品を様々かつ自由な解釈で味わう事ができる。鑑賞者の解釈に意味が生まれるのはそういう作者の土台があっての話だ。それは当たり前のことであって、ちょうど建物の土台や骨組みそしてその強度に相当する。

4.無意識
この世界にアクセスすることは芸術家共通のテーマでもある。無意識へのアクセスは作品成功のカギであり、できないのならその作品は失敗だ。アクセスできた作品は魂を持ち始める。もっともあまりに多くの藝術家がこの無意識で全てを賄おうとする。しかし無意識は常に明確な意識と論理によってのみ支えられる。

5.神
論理と無意識にアクセスできれば、神が勝手に描いてくれる。そして鑑賞者にとってもっとも大切な要素が作品に組み込まれる。それは作者と神が鑑賞者のために捧げる祈りだ。
その祈りのエネルギーこそが作品の命、存在意義であり、見ている人が感じて佳き人生のために使ってくれることこそが僕の作品の存在意義だ。




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