ラットレー・サー・ウイリアム
使用葉:バーレイ、ケンタッキー、トルコ、ヴァージニア原産国:デンマーク(UK OEM)
価格:2450円/ 50g(2023)
久しぶりのパイプ葉レビュー。常喫葉はレッドラパリーやブラックマロリーなど、ラタキアが強く舌荒れの少ないものを選んでいるので、ケーシング系は久しぶり。ウイスキーでケーシングしているらしい。生葉の香りはウイスキーというより、ナツメを思わせるような甘いフルーツ感。「桃山」も思わせる。開缶直後、香料系と勘違いし「しまった」と思ったが、それほど人工的な匂いがするわけでなく、ケーシングによる熟成香のようで、これはこれで楽しめる。
葉様はリボンカット。この手を「レディラヴド(フレークをすぐに喫える状態にほぐしたもの)と形容する人が最近増えているが、レディラヴドはリボンカットとはそもそも製造工程が異なる。どちらがこの葉の状態として正しいのかはわからないが、僕的にはこのSIR WILLIAMはどうみてもミクスチュアの「リボンカット」である。
前評判として「火持ちが良い」とのことで期待したが、期待ほどの火持ちの良さは感じられなかった。燃焼が速いのでそう感じるのか、むしろ油断しているとやや大げさにドロウ(吸い)&ブロウ(吹き)を要求されることがある。それは舌荒れを誘発するし、ラフなブロウは灰が飛びがち。
この辺は圧縮して熟成の進んだ火持ちの良い葉には一歩譲る。
喫味はやや若いが癖のない穏やかなバーレイ種特有の渋みとタバコ感、ヴァージニアの甘みがほどほどにあり、「ウイスキー」というよりは「ラム」っぽい。もしかするとシェリー樽のウイスキーをイメージしているのかもしれない。その香りをもっともよく味わえるのは、ブロウのアロマだ。決して濃厚ではないが複雑なブレンドでありながら深すぎない、タバコらしい芳香が好ましい。
喫後は甘さが舌に残り、余韻を楽しめる。喫後の甘さといえばマーリンフレークだが、マーリンフレークほどではないにしても優しい甘さを楽しめる。
バーレー種特有の煙臭さに好き嫌いが分かれるかもしれないのと、燃焼が速すぎて舌荒れを起こす危険性を除けば、自然な雰囲気のケーシング葉を楽しめる良品だと思う。