2014年8月26日火曜日

Celtic Talisman



セルティック・タリスマン(ケルティック・タリズマン)
バージニア葉、バーレー、キャベンディッシュ、チェリー、バニラ
製造国:イギリス



「セルティック・タリスマン」は本来「ケルティック・タリズマン」と発音したほうが正確なはずだが、カタログ等には全てセルティック・タリスマンと表記されている。直訳すると「ケルトの護符」。パッケージの左側に描かれている模様がそれだ。日本では「ケルト模様」としてよく知られている。
ケルト模様のデザインは様々あるが、十字、左右上下対称、一筆書きや編み物のような幾何学模様(ノット)、それらの組み合わせなどが特徴。
それぞれのパターンでいろんな意味合いがあり、たとえばアランセーターの縄目模様は元来は航海の無事を祈るためのお守りの意味があり、手編み故オリジナルの模様が船乗りと同じ数だけあったと言われる。
ミステリー・サークルなどにもしばしばケルティックの模様が見られる。

この缶に描かれた意匠がどんな意味を持つのか詳細は残念ながら分からないが、永遠性や繁栄(安定)を象徴している事だけは伺える。


葉様は明るいバージニアとダークキャベンディッシュのミクスチュア。柔らかなリボンカット。ちょうど同社のグラウスムーアとよく似ている。生葉の香りのキャラクターもよく似ていて、グラウスムーアより軽やかだが、いっそうフローラルでフルーティな甘い香りが鼻をくすぐる。
チェリーとバニラによる着香がされていることははっきり判別できるが、それらは個別に強く主張するわけではなく、ハーモニーがとても女性的でまるでポプリのようだ。シャンパンのような香りも見え隠れする。

さほどモイストではなく、開缶してすぐにボウルに詰められる。ほぐしももちろん要らない。火付きも火持ちもとても良い。

生葉の時の華やかさとは裏腹に序盤から豊かなアロマとたっぷりとしながらキレの良い喫味が支配する。生葉の時は女性的だったアロマは、着火と同時にハバナに似た熟成香に変化する。ハバナは土の香りに近いがこれはムスクに近い。バーレー種ブレンドの片鱗。

中盤の喫味はキレが増してくる感じだ。ムスクのアロマは弱くなり、バージニアならではの香りが増してくる。
爽やかというほどではないが、ほどよいスパイシーさと甘さのバランスがとても好感が持てる。
サミュエル・ガーウィスに共通する特徴として、生葉の甘い香りに比して、喫味の方は決して甘ったるさはない。「ヴァージニアの自然な甘さ」というものもこれみよがしなものではなく「しっかりと用意はしているから自分で引き出してごらん」と言われているようで、パイプのタイプや喫うたびに印象が変わる。

終盤はやや辛めに変化するので早めに終了したほうがいいかもしれない。テクニックによっても差はあるが上質な着香系ミクスチュアに共通する問題として、モイストをキープした葉ほど序盤と終盤の喫味の変化が大きいという点がある。
ただロングスモークは可能なので喫い方は人ぞれぞれ。
葉の開きが早いのでタンピングはこまめに必要。

これまで取り上げてきたサミュエル・ガーウィスのラインナップの中では群を抜いて分かりやすく、また喫いやすい素直な性格だ。パイプtobaccoの良い部分がしっかりと表に出ていて誰にでも引き出しやすく、初めてパイプを嗜んでみようという人にもおすすめできる。
惜しいのはなかなかこれを扱っているショップが少ないという点だ。知っている限り実店舗で買えると分かっているのが2店舗。今回は知己に特別に頼みこうして味わうことができた幸運に感謝。
こういうtobaccoこそどこでも手に入るようにして欲しいのだけれど、知名度が低い分仕方がない話なのかもしれない。

春の香りのグラウスムーアを引き合いに出せば、セルティックタリスマンは高原の夏のtobaccoだ。心の高揚とほんのり汗ばんだ肌を冷ましてくれる森の風、木陰のテーブルに盛られたフラワーアレンジとハーブと生ハムを使ったブランチの後に時間をかけて飲むカフェオレと一緒に。

喫味はミディアム。舌荒れは並。
時間帯は朝から昼過ぎ。
合う飲み物はミルク入りのコーヒー
1900円/50g(2014国内)


  1. 生葉芳香 弱←○○○○○○★○○→強
  2. 甘  み 少←○○○○★○○○○→多
  3. 味の濃淡 淡←○○○○★○○○○→濃
  4. 熟成感  若←○○○○○★○○○→熟
  5. アロマ  淡←○○○○○○★○○→濃
  6. 満喫感  弱←○○○○★○○○○→強
  7. 舌アレ度 弱←○○○○★○○○○→強
  8. 火持ち度 悪←○○○○○○○★○→良
  9. 常  喫 無←○○○○○○★○○→有
  10. 個  性 弱←○○○○○○★○○→強


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