2015年3月17日火曜日

スコットランドの家飲みウイスキー 〜The Famous Grouse〜


スコットランドでもっともポピュラーと言われる「ザ・フェイマス・グラウス」(ノンエイジ)。
ボトルラベルにはスコットランドの国鳥である雷鳥(グラウス)が描かれています。
マッカランやハイランドパークの原酒をマリアージュしてブレンデッド・ウイスキーに仕上げています。

実売1200〜1500円、国産だとサントリー角やブラックニッカスペシャル、リッチブレンド辺りと似たような価格帯になります。

味はニッカの同価格帯のウイスキーにとてもよく似ています。ハイランドをお手本にしてウイスキーづくりを始めたと言われるニッカの方が似ているのでしょうけれど、どちらもいわゆる正統派スコッチのベクトル上にあります。

ブレンドに関してはハイランドパークよりマッカランの方が多めの感じで、軽めのピート香、ズシッと来るカスクフレーバーとコク、蜂蜜のような甘み。決して初心者向きではありませんが、味は濃厚で飲みごたえがありながらスムーズで飲みやすいウイスキーです。

1000円前後のブレンデッドスコッチはアルコール臭がきつかったりして、安酒のイメージが拭い切れないものが多いのですが、このフェイマスグラウスはアルコール臭はあまりせず、ふくよかさと甘みが勝っています。

ただ余韻に若干の苦味は残ります。この苦味は好き嫌いが分かれる部分かもしれません。決して奥行きのあるものではなく、飲んでいるうちに何かのアテ(マリアージュ)を要求してきます。
スモーキーフレーバーがもう少し強ければこの辺は美点に変化すると思うのですが、スムーズさとの兼ね合いになるので敢えてそうしないところなのかもしれません。
試しに手元にある余市の10年を少しだけ垂らしてみると実に素晴らしい後味になりました(笑)
それはともかく味の濃厚さという意味ではかなりコストパフォーマンスの良いお酒ではないでしょうか。ベテラン向きです。

ところでバーに行けばもっぱら珍しいシングルモルトやカスクストレングス(水で薄めていない樽出しのモルト。55%〜65%とアルコールが強いのが多い)を頼みます。
しかし高くて美味いのは当たり前、バーでワンショットだけ舐めて「美味い不味い」を言ってもあまり意味がないように思います。だってどれも美味いのですから。
ラムやシェリーと同様、シングルモルトには風景があります。その風景を感じるにはワンショットで十分です。

ところがそのワンショットの値段で一瓶買えてしまうぐらいの安ウイスキーと毎晩向き合っていると、カスクだスモーキーだ風景だという前にその美味い不味いの二値がとても気になる項目になってきます。

効率の悪い蒸留方法で作られた農産品でありながら、同時に画一化された工業製品であることも求められるウイスキーへのブレンダーの工夫、苦心、誠実さ、魂胆、妥協…。いろんな思い。
この「例の有名な雷鳥」はブレンダーのストーリーも含め、そんな期待や想像に答えてくれる良いウイスキーだと思います。










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