2017年5月23日火曜日

手指のデッサン



手指を描くのは、好きだけどキライです。
うまくいった時は嬉しいけど、うまく表現できない時は、もう何もかもイヤになります。

何十年、手のデッサンをやっても、未だに全く自信がないのです。
手は、人間、いや動物の器官の中で、一番表現が難しいと思います。

素描やエスキスの時は、まあ、下手くそでもひょいひょい描きますが
油彩などの本作品の場合は、最後の最後まで手指は細かくは描きません。

なぜなら手をどう描くかで、絵全体の表情がまるっきり変わってしまうからなのです。
いや、そんなカッコいいのではなく、決め打ちがこわいだけ。

取説や操作図に使う、イラレ(Adobe Illustrator)で描く手指は大得意だったけど、あれはティピカルで性別も表情もないので簡単。

「ティピカルな手指」というのは、誰がどう見ても、いかにも手指に見えるので、上手にきれいに見えるのだけど、実は本当ではないのです。

5本の指と4つの関節と、それぞれの関節の位置が全て相関関係を持ち、性別によって筋肉や脂肪も決まるので、ティピカルな手指には、黄金比のような法則があるのですが、本当の手指にはその相関関係に個性があって、手指のつき方見え方はそれぞれ全然違います。

この個性の違う手指が、ねじれてたり、曲がってたり、時にスタイリッシュでなかったり、ティピカルでなかったりすると、まるでデッサンが狂ったように見えるのです。


いかにもな手指は、実際に見なくても2〜3パターンぐらいなら、練習すれば誰でも描けるようになります。
でもそれはあくまでも手癖。
見ないで手癖で描いてる人、多いなあ。
絵画でもマンガでも、やけにキレイで理想的な手指を見たら要注意。

なーんて…いや、人様のことを言える義理ではない。
油断すると手指ドヘタクソになるこの不器用な手をなんとかしたい。
いや、上手く描こうとするから下手くそになる。
無心無心。

ところで赤ちゃんの手指の動きには殆ど意図がありません。でも、表情は豊か。
無心の美。

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