2012年3月2日金曜日

モーツァルト,ヴァイオリン協奏曲4番(軍隊)・5番(トルコ風)/千住真理子





モーツァルト, ヴァイオリン協奏曲4番(軍隊)・5番(トルコ風)/千住真理子(バイオリン)+イギリス室内管弦楽団/Victor/1987/LP

千住真理子は日本を代表するバイオリニストの一人。デビューは12歳。同世代の自分がクロイツェル教本で四苦八苦している頃に、この人の演奏を聴いて、まあ、そこでバイオリンの弓を折るなんていうほどバイオリンが好きでも上手い訳でもなかったけれど、スゴイなあ、自分には才能ないなあと感じ入ったのは記憶にある。

彼女の演奏はとにかくたおやかでケレン味なく、常に澄み切っていて美しい音色と秘めたパワーが同居する。彼女の後にも、彼女よりずっと上手いバイオリニスト、パワーのあるバイオリニストはいくらでも出ているけれど、バイオリンをガナリ立てなくても、もったいつけなくても、叩きつけなくても、「わっ」という、魂を揺さぶるような清冽な音が聴き手に届くという意味では、未だにこの人を超える人は出てないのではないだろうか。
愛器はストラディバリウス「デュランティ」。

それにしてもジャケットのひどさよ。貸衣装のようなのを着せられて、帯のアオリが「愛のアマデウス」って、情けない。彼女だけじゃないんだけど、なんだか当時のクラシック音楽家ってかわいそうだったなあ。
クラシックを奏でる人は清廉潔白というイメージを強要された時代だけど、だいたいこんな格好でバイオリンなど弾けないし、衣装はしわくちゃだし、軍隊とトルコ風で、愛のアマデウスって。。。パブリシティは何考えてたんだ。千住の良さが微塵も出てない。普通にしてたってすごい演奏なのに台なし。
二十年後、流行の最先端や等身大のセックスアピールを全面に押し出して売り出している今の音楽家は幸せだ。そしてその方がむしろクラシック音楽らしい気がする。

Youtube
モーツァルトがなかったので、バッハのアヴェ・マリア。うーん、この演奏は千住真理子のベストな感じではない。それでもとても良い演奏。
http://youtu.be/Mxy-nBeF5Ng

もうひとつありました。エルガーの愛のあいさつ。この曲は、日本人が弾くと特に、そのバイオリニストの腕も精神性も価値観もモロに出てしまう、ある意味恐ろしい曲(笑)。さて、千住はどうか。この動画への賞賛のコメントが全てを語っていると思う。
http://youtu.be/HzSFat36ZDM

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