描いてれば満足だって?
冗談じゃない。
制作途上の自分の絵を見るのは大嫌いだ。
なんでこんなふうにしかならないんだ?
何が面白くてこんなもの自分は描いてるんだ?
もうやめたい
もう潰して違うものを描こう
今日は描きたくない
どうして描けないんだ
もっとこうすればよかった
どうしてスラスラ描けないんだ?
新しいものが描きたい
こんなの使い古されたモチーフじゃないか
ありふれた絵だな
なんで自分はこんなにヘタクソなんだ
そんなことばかり考えて救われない気持ちを抱えたまま、身体と心をよじらせて、自分を絵の前に引きずり出す。
音楽をかけて、心を絵に向かわせようとする
他のことが出来るのか?
あの仕事もこの仕事も、そう、放り出して絵にかけたんだ
お前には絵しかないじゃないか
そう、絵しか残されてないんだ
絵を描くことでしか自分を表現できないんだ
ここさえ描ければ、うまくいくのに
そうして何度もなんども描いたり消したり上塗りしたりしていくうちに
ある日、じっとその絵と向き合ってる自分が出て来る。
静かに、心穏やかに
絵に何かを語りかけている自分に気がつく。
この絵でよかった
これを描いててよかった
もうこれはこれでいいじゃないか
サインしよう
これが今の自分なんだ
また次に頑張ろう
これはこれでいいじゃないか
絵を描いててよかった
ありがとう
神様
僕に絵を下さって
その繰り返しだ
それが絵描きだ
描くことが好きで好きでなんて
僕には口が裂けても言えない
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